ルドゥーテの薔薇
『王妃の愛した薔薇
宮廷画家ルドゥーテの世界』を見に行きました。
オールドローズを忠実に描いた繊細な銅版画。
ルリュー、レリティエ・・・美しい名前のバラがありました。
フランスの画家ルドゥーテ生誕250年記念だそうです。
ということは、ここに描かれたバラはすべて、200年くらい前に咲いていたバラなのです。
この世に存在し、呼吸していたバラの花。
風に吹かれたり、森の中でひっそりと咲いていたり、ルドゥーテの見つめる瞳に頬染めたり。
遠い昔のバラの記憶を今日、私は感じることができたのです。
年代を感じさせる額縁が独特の美しさをプラスしていたように思いました。
古い色調のモスグリーン、紗がかかったような金色、鈍い赤茶色。それから、ところどころにできた傷。
いちばん美しかったのは、なめし皮に直接ルドゥーテが描いた、カメリアの花でした。
白い花びらに血が飛び散ったようなローズレッド。
こんなふうに絵に残されたバラやカメリアは、永遠の命を一人の画家からもらったのですね。
土に還っていく多くの花の中で、なんて幸せな花たちでしょう。
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