追悼・詩人シンボルスカ
2月3日、ポーランドの女性詩人、シンボルスカがなくなったと新聞で読んだ。
ノーベル文学賞を受賞した『終わりと始まり』を久しぶりに開いてみると、不思議なほど言葉が心に入ってくる。
そこには「死」が書かれ、再び「生きること」が描かれているのだ。
数年前にはなにげなく読み進めた言葉が、大震災を経た今の日本で読むと、その一つ一つが強く深い意味をもって迫ってくる。
たとえば、『現実が要求する』という詩。
「現実が要求する/これも言っておくようにと/生活は続いていく/それはカンネーやボロジノの近郊でも/コソヴォの野でも、ゲルニカでもおなじこと」(沼野充義訳・未知谷刊より抜粋)
それは・・・南三陸や大槌町の近郊でも/フクシマでも、ヒロシマでもおなじこと。
朝がくれば目覚め、生活は続き、私たちは生きつづける。
一分一秒悔いのないように生き続けよう、と思うことは簡単だけれど、実行することはむずかしい。
それでも、道を歩いていくことを続けようと、あらためて感じている。
詩人シンボルスカ、そして、彼女が思ったすべての人々、大震災で亡くなられたすべての人々・・・
安らかにお眠りください。
2011.4.17 in ONAGAWA
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