語りかける花
朝6時。コーヒーを入れて本を読む。朝目覚めてから、私の肉体に、すばらしい作家、芸術家たちの言葉を入れる時間。
今日は、染色家、志村ふくみさんの『語りかける花』。
読み進めるうちに、木村正俊先生の言う“覚悟”を思い出す。天からたくされた運命を受け入れ、突き進んでいく覚悟が私にあるだろうか……。
ページをめくっていくと、まさに今の私への天からの声のようにこんな文章に出会いました。
「古来、我々の先祖はすべての草木に霊があると考え、強い木霊の宿る草木は薬草として用いられた。薬草に宿る霊能によって、病が癒され、その薬草から色彩(いろ)をとり出して、布に染め、身にまとって保護したのである。それ故、草木から色を染めることは、単なる染色、装飾、としてだけでなく、生きることに直接つながっていた古代人の思想、信仰にも深く関わっていた。~中略~こうして、私自身も色をあつかう仕事をしながら、全く気付かずにすごした時期があった。ある時期から、ふと、ふしぎな木の声をきくようになった。草木の方からしきりに語りかけてくる言葉に、耳を傾けるようになり、やがて、私自身が、植物界の圏内にすっぽりとはまりこんで、その中の指令によって動いていることを否応なく感じさせられる時のあるのに気付くのであった。正に「植物は物語る」のである。」(彩暦より)
木から美しい色をとり出す染色家である志村ふくみさんはやはり木の声を聴いていた。
“植物界の圏内にすっぽりとはまりこむ”という感覚は私が大樹の下に立つとき、その木が生きている森の空間にすーっと溶けこんでいく感覚と似ている気がしました。
木が語りかけてくれる言葉をふたたび、つづってみようと思いました。
志村ふくみ著『語りかける花』(人文書院)
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