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2013年9月

2013年9月30日 (月)

「ルーン塾」が始まりました!

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先週28日土曜日、初めての【ルーン塾】が行なわれました。参加者は10名。いらしてくださった皆さま、ありがとうございました。

1つのルーン文字に対して、1010様の答えがあります。自分よがりにならず、都合のいい解釈にせず、そのまま素直にダイレクトに<ルーンの神託>を受けとめる勉強を始めています。

何よりも必要なのは、インスピレーション(直観力)です。世間の常識、生まれ育った環境、出会った人々の考え方などによって、あなたの心とアタマ、凝り固まっていませんか?
 

【ルーン塾】ではインスピレーション能力や集中力を磨く方法も伝授します。もっと自由に、楽しく、ルーンのメッセージを受けとり、あなたの日常に生かすノウハウを手に入れましょう。

「わかりづらい」「解釈が難しい」と思われてきたルーン文字を気軽に、ワクワク楽しく学べる方法で展開していきます。

これからルーンを勉強したいあなたも、もっと深めたいあなたも、【ルーン塾】からの案内に注目していてくださいね。

今後の杉原梨江子オフィス主宰【ルーン塾】
【ルーン塾】vol.2 テーマ:他者を占う
1110日(日)1430分~1730分 
1124日(日)1430分~1730
1130日(土)時間未定
いずれも備屋珈琲店・恵比寿店 ROOM WEST にて
ご予約・お問合せ:tree@rieko-sugihara.com

※詳細はあらためて発表します。

★現在行っている【ルーン塾】
『ルーン塾』開講記念講座「ルーン文字を読み解く」
<第1回>今のあなたに必要なルーンを知る

日時:9月28日(土)1645191516:40受付)
1個のルーンを引いた時、質問によってメッセージは変わり、どう受けとめるべきか迷いますね。各意味を読み解くにはコツがあります。2013年下半期、あなたの成長に必要なパワーに焦点を当て、ルーンの解釈法を学びます。

<第2回>105日(土)
メッセージの受けとめ方には3つある
<第3回>1012日(土)
メッセージの伝え方、言葉の選び方
※詳しい内容は公式サイトをご覧ください。⇒ http://rieko-sugihara.com/information/


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2013年9月18日 (水)

スウェーデン日記13 ストックホルムの朝 Good Morning!

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スウェーデンの旅、3日目。宿泊しているリカ・ホテルの朝はにぎやかだ。ロビーと同じフロアに朝食のための部屋が2つあり、7時過ぎて行くとかなり席が埋まっていた。
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窓辺の席からは美しい水色の建物、ストックホルム・コンサートホールが見える。あいにくそこは先約がいたので、その隣の席につき、ちょっと離れて景色を楽しむことにした。

私が訪れた7月はちょうどバカンス・シーズン。家族連れも多いが、老夫婦のカップルが目立つ。おそらく70歳は超えているだろう女性が真っ赤なワンピースを着て、隣の男性とにこやかにお喋りしている。ショートカットの銀色がかった白髪と鮮やかな赤とがなんとも似合って、そこはかとない色香を放っている。

ヨーロッパを旅するとよく思うのだが、60代、70代以上の女性がとても美しく、エレガントだ。年老いて尚、女らしく、あでやかな服を身にまとうことを辞さない凛とした魅力がある。日本ではある年齢を過ぎれば女としては終わり、と思われる風潮が男性にも女性にもあるように思う。本人さえも女である自分を捨て去り、色気からは遠ざかってしまう。一方、ヨーロッパの女性たちはおばあさんといわれる年齢になっても、“女”であることを忘れない。自身を美しく魅せることを怠らない彼女たちを見ていると年をとることが楽しみになってくる。

赤いワンピースの女性とは少し離れて座っていたのだが、目が合うとニコッと笑いかけてくれた。同じ空間で、美味しい朝食を食べている時間の共有。その喜びが伝わってきた。私も嬉しかった。夏のバカンスにどこか別の西欧の国からいらしたのだろう。長い人生の中では紆余曲折があったに違いない。しかし今は愛する夫と旅をしながら、穏やかな時間を過ごしていらっしゃる。彼女の視線、しぐさ、話し方などが何ともチャーミングなのだ。魅力とは外見のことだけではない。年齢を経て生まれる成熟した精神こそ、その人ならではの輝きとなってにじみ出るのだとその老夫婦を眺めながらあらためて思った。

ホテルを出ると、コンサートハウス前の広場で市場が開き始めていた。ラズベリー、ブルーベリー、イチゴなど色鮮やかなフルーツ、野菜、ナッツ、花束、Tシャツなどが売られていた。ひと粒だけラズベリーをつまんで、目的地へと急いだ。
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大通りに出ると、出勤途中の人々が足早に過ぎていく。7月3日(水)、今日はストックホルム界隈で一日を過ごす。どんな出会いがあるだろう。
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2013.7.3









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2013年9月13日 (金)

スウェーデン日記12 ストックホルムの夜 Good Night

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朝、ストックホルム中央駅を11分に出発。夕方、ウプサラを1741分発、ストックホルムに1819分に戻ってきた。

スウェーデン日記2のウプサラ大聖堂からスタートして日記11まで書いてきたが、これがすべて一日の出来事だと思うとどれほどの貴重な時間を過ごしたかがわかる。

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ストックホルム中央駅から宿泊しているリカ・ホテルまでは徒歩10分ほど。無事に部屋に戻ると、よほど疲れていたのか、荷物を置いてすぐにベッドに倒れこみ寝てしまった。心の奥のほうで「街を歩きたい……せっかく来たんだから」と、あれほどウプサラを堪能した後だというのにまだ遊びたい欲求がふつふつと湧いてくる。体は疲れて眠りたいと言っているのだが、起き上がろうとする私がいる。それでも1~2時間はうとうとしただろうか、目を覚ますと21時近くになっていた。

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外に出ると、うっすらと夕焼けが空を染め始めていた。7月のスウェーデンは白夜ではない。日の入りは夜22時頃だ。旧市街ガムラ・スタンの入口あたりまでゆっくりと歩き、引き返すことにした。空を見上げると、青にオレンジ色の光がまざり始め、少しずつ赤い闇へと変わろうとしている途中。7月2日、初めてのひとり歩きのスウェーデンは一日の終わりに美しい夕焼けをプレゼントしてくれた。

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素敵なオーガニック・レストラン

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Rica Hotel Kugngsgatan 

https://www.rica-hotels.com/hotels/stockholm/rica-hotel-kungsgatan/

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2013年9月12日 (木)

スウェーデン日記11 神々の大地 ウプサラよ、さようなら Bye Uppsala

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帰りのバスはガムラ・ウプサラ博物館から歩いてすぐのところだ。木が生い茂り、しだれた枝葉が美しい緑のトンネルを作っているその下に停留所がある。到着時刻までには少し時間があったので、もうしばらく歩いてみることにした。

人がまばらになり、三つの墳墓が連なる丘は徐々に神の領域へと変わっていくように感じた。木も草も花も、空も風も水も、建物も教会も、すべてがひとつに溶け合っていく。約一千五百年も前の昔とあまり変わらないだろう風景は現代を生きる私たちのことも穏やかに迎えてくれる。しかし夕刻、空が藍色をおびていき、人間はそろそろここから立ち去る時がきたことを知らせる。私は三連の山をふり返りふり返りしながら、バス停へと歩いていった。
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線路を過ぎると、この場所にたどり着いた時のほっとした気持ちを思い出した。ここからもう去らなくてはならないと思うと寂しさがこみあげてきた。いつまでもいたい気持ちが募るがしかたがない。時間は刻々と過ぎ、私はこのウプサラからストックホルムまで帰らなくてはならないのだ。ぐずぐずしていると夜遅くなってしまう。
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緑のトンネルの下にバス停留所

バスはほどなく到着した。運転手にウプサラ駅に行くか?と尋ねると、ウプサラ駅から少し離れたところに停まることを教えてくれた。来る時に乗ったバスの運転手さんと違い、でっぷりと太ったおじさんだった。ガムラ・ウプサラからウプサラ中央駅までは約15分。広々とした緑の景色を目に焼きつけるように眺め、バスに揺られていった。

大通りに入り、車の数も多くなり、石造りの大きな建物が増えてきた。今までいた場所とはまるで違う。現世に戻ったかのようなにぎやかな街の風景が広がった。

ところで、一体どこで降りるのだろう? 一緒にバスに乗っていた女性の3人連れが運転手に聞いている。もしかして駅を尋ねているの? と思う間もなく、慌てて女性たちがバスを降りた。私は3人に向かって、「Uppsala Station?」と声を張り上げた。「そう! 駅に行くならここで降りて!」と眼鏡をかけた女性が大きく手を振りながら私に教えてくれる。「Harry up!」降りたとたん、バスは発車した。よかった、全く知らない場所に行ってしまうところだった。ほっと胸をなでおろし、眼鏡の女性にお礼を言う。すると彼女は「私たちもウプサラ駅に行くから一緒に行きましょう」と連れて行ってくれた。

バス停から駅まで結構な距離があった。一人だったら途方に暮れるところだった。日本から来たと伝えると、「ウプサラ好き?」と聞かれる。「ウプサラ大好き!また来たい」と答えると嬉しそうに笑った。彼女はウプサラに引っ越してきたばかりだと言っていた。もっと話をしたいと思ったが、ウプサラ駅が見えてきた。3人に手をふって分かれ、私は見慣れたウプサラ中央駅へと歩いて行った。

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駅の構内はとても可愛らしく、エレベーターにはカラフルな文字が描かれていた。こじんまりとした駅なのだが、明るく広々として見えた。
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ストックホルム行きの時刻を調べると、1741分。出発まで5分もない。もう少しウプサラ駅周辺を散策してもいいかと思ったが、背中を押されるようにして電車に飛び乗った。
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電車はすぐに動き出し、私はとたんに後悔した。ウプサラがあっという間に去っていく。慌てて電車に乗ることはなかったのにと思ったがもう遅い。風景は次々と変わり、ガムラ・ウプサラの小高い丘の面影もなく、ルーン石碑の思い出も遠くなっていった。

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19分、ストックホルム中央駅に到着。電車から降り、ホームを歩きながらまたもや後悔した。ストックホルムがあまりに都会だったから。素朴さの残るウプサラのほうがずっと好きだ。もう少しゆっくりと街を歩けばよかったと寂しさに包まれた。

素敵な店が連なるというストラトリィ広場Storatorget、フィリス川そばのフィリストリィ広場Fyristorg、アカデミガータン通りAkademigatanなど巡っていない通りも多い。いちばんの心残りは「リンネ博物館」に行けなかったことだ。植物の分類法を編み出した植物学者カール・フォン・リンネ(17071778)の住居や研究室が博物館となっている。約1300種類もの植物が栽培されている庭園【Linnetradgarden】もある。木々や草花を愛する私としては歴史あるその植物園に行ってみたかった。ウプサラ大学図書館で出会った女性、ソフィアさんもすすめてくれた素敵な場所(スウェーデン日記5)。次に来る時はウプサラ市内に泊まり、街中を散策しよう。リンネの植物園でゆっくりと草花と話そう。

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今でもウプサラの一日を思い出すとせつなくなる。すべての時間が愛おしい。いつかきっと、再びウプサラを訪れたい。

こうして、日本からスウェーデンに到着して翌日の旅の始まり、ウプサラひとり歩きは終わった。

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2013年9月11日 (水)

スウェーデン日記10 オーディンの蜜酒を飲む Oðin Miöd

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この地でどうしても立ち寄りたい場所があった。レストラン「オーディン・ボルグ Odinsborg 」。ここで、オーディンの蜜酒【
Oðin Miöd】が飲めるというのだ。北欧神話に登場する魔法のお酒である。ひと口飲めば、予言の力と、詩人としての才能が得られるという知恵の酒。北欧の最高神であり、知識と詩の神でもあるオーディンがさらなる力を求めて、巨人から盗み取ったいわくつきの蜜酒である。

それにしても、神話に出てくるお酒が飲めるとは一体どういうことだろうか。蜜酒のことは、今回の旅行でコーディネイトをしてくださったツムラーレのS.Nさんが教えてくださった。今から20年以上前、北欧の歴史や文学を勉強していたNさんは大学の恩師、岡崎晋先生に連れられて行ったと言う。蜜酒はヴァイキングの兜(かぶと)の角そっくりの形をした器に入ってくるため、普通のグラスのように立てることができないから、飲み干すまでは器を手放せないのだと笑いながら教えてくれた。岡崎先生はヴァイキング、ルーン文字についても詳しく、「生きていらしたら、杉原さんとは話が尽きないだろうね、きっと喜ばれただろうな」と残念そうだった。私のほうこそ、自分のテーマと共通する研究をしていらした先人とお目にかかれなかったことは悔しい思いである。

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少々話がそれたが、神話の中でしか知り得なかった蜜酒が飲める「オーディン・ボルグ」は手前の墳墓のちょうど裏辺りにあった。とても可愛らしい、木のお店だった。
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ヴァイキングの荒々しいイメージは全くなく、どちらかといえばメルヘンを感じさせる、山小屋風の家だ。スウェーデン国旗がはためき、中に入るとヴァイキングの男の子が迎えてくれた。
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窓際に二人掛けのテーブル、奥には白いイスとテーブルが並び、優しい雰囲気だ。
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いちばん奥がレジになっており、さまざまな種類のサンドイッチが並んでいた。トマトサンド、シュリンプサンド、チーズサンド等々。お姉さんに「蜜酒が飲みたい」と言うと、「ケースから自分で出して」と言われる。彼女が指さしたほうを見ると、瓶に入った蜜酒【
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ミョード】が保冷ケースに並んでいた。ビールみたいだなと思いながらレジに持っていき、何か温かい物が食べたいが何かあるか? と聞いてみた。ハンバーガーが数種、ステーキ・プレート、ラザニア……。黒板に手描きされたメニューを見ながら説明してもらう。値段をチェックして、手頃なラザニアを注文する。グラスはいる? と聞かれたのでYesと答え、蜜酒の瓶を持って、テーブルについた。私以外には家族連れがちらほらいるくらいで、どこに座ってもいいようだったので、可愛い花が飾られた窓際の席を選んだ。ここからなら、緑が広がる風景も見えた。

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いよいよ“オーディンの蜜酒”である。ヴァイキングの角で飲むわけではないらしい。テーブルに置けないから飲み干すまで手放せないという蜜酒の飲み方を楽しみにしていたのだが、まあよい。この目の前にある瓶の中には、あのオーディンの蜜酒が入っているのだ。

北欧神話の中で、オーディンが用意周到に計画し、女を騙して手に入れた、知恵と魔法の蜜酒。この蜜酒は文字のとおりに単純にハチミツと酒でできているわけではない。何でできているかというと、主原料は神々の唾(つば)である。この唾を入れた壺に神々が命を吹き込むと賢者が現れる。が、小人が惨殺。賢者の体から流れ出た血液にハチミツを混ぜ合わせ、魔法の蜜酒が完成した。こんな短い説明ではわかりづらいだろうが、つまり、オーディンの蜜酒の原料は「唾」と「血液」と「ハチミツ」である。

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どんな味なのだろう? 蜜酒【
Miödミョード】をグラスに注ぐと、クリーム色の液体で少しとろみがあるようだ。ひと口飲んでみた。ほんのりとした甘みが口に広がるが、少し苦みがあり、独特の風味がのどに注がれる。この味は何かに似ている。フルーツ牛乳、いや、ヤクルトか、どこかで飲んだことのあるような味なのだが思い出せない。かなりアルコール度数は高そうだ。感覚としては日本のにごり酒の洋風といった味わいがある。

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Miödミョード】を味わううちにラザニアが運ばれてきた。大きい! 高さ10㎝はあろうかというビッグなラザニアだ。サラダもたっぷりあり、食べきれるか不安になる。ひと口食べて不安は吹き飛んだ。美味しい! 今まで日本で食べてきたラザニアは何だったのか?と思うほどだ。とにかくコクがある。なめらかな触感のパスタに濃厚なソースとチーズがからまって、口の中がとろとろと溶けていきそうだ。食べ終わるのがもったいない。【Miödミョード】は徐々に濃くなっていく気がする。どうやら最初によく振ってから飲んだほうがよかったようだ。食べ終わった後も私はしばらくそこで過ごしていた。レストランは家族連れが去り、店員の姿も見えなくなった。

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とても静かだ。頬杖をついて、窓の外を眺める。アルコールがまわってほんのり心地よく、ラザニアを堪能し、窓の外にはガムラ・ウプサラの緑ゆたかな風景。たった一人でこんなところまで、神話をこの身に感じたいためだけに来てしまった……と自分の無謀さがおかしくなる。静かに静かに過ぎていくこの時間はやがていつまでも褪せない、かけがえのない思い出に変わるだろうと感じた。

夕暮れが空の色を変えていく。青が少しずつ濃くなっていき、雲の色も鈍い銀色がかったきた。遠い神話の世界のものでしかなかったオーディンの蜜酒を体に満たして、そろそろ帰路につくことにしよう。


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★レストラン「オーディン・ボルグOdinsborg」の行き方
 
ガムラ・ウプサラ博物館から教会に向かう途中の小道を右手に入る。室内も素敵だけれど、外で風に吹かれながら過ごすのもいい。帰り際、おばあさん二人が外の席でお茶していらっしゃる様子があまりに気持ちよさそうで……。
Odinsborg Restaurant & Café
月~金10001600 土・日10001800 無休(20137月現在)
 
http://www.odinsborg.nu/

2013.7.2

 

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2013年9月10日 (火)

スウェーデン日記9 宇宙樹ユグドラシルと出会う Ash-tree Yggdrasil

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「天と地とを貫く大きな一本の樹木がこの宇宙を支えている」

木=TREEが根幹にある世界観は北欧神話独特のものであろう。木とは宇宙樹ユグドラシルことだ。

思うところあって、木の神話や伝説を調べ始めて何年が経ったろう。もともと木に心惹かれてはいたが、一人で日本の巨樹やご神木を巡るようになり、いつの間にか、世界のご神木についても知りたくなった。

つねに木は、私に、語りかけてくれた。人生の重要な場面場面で、木はささやきかけ、私はその言の葉に勇気を得て、生き続けてきたように思う。時に励まし、時に叱咤し、時に慰めてくれた。

夢中で木との逢瀬を繰り返すうちに、「他の人はどうなのだろう?」と思うようになった。つまり、他の人間も私の状況のように木が語りかけてくれ、木との対話によって救いを得る、そんなことがあり得たのだろうか? 素朴な疑問が私を“木にまつわる神秘の研究”へと導いていった。

聖書、仏典、神話、民話、伝承など、ありとあらゆる文献を読んでいった。すると、あるわあるわ、あたりまえのように、“木と人間とが交流する事例”が世界各地に豊富にあった。それは神話や伝説という形となって、現実とは思えない例も多々あったが、民間伝承として実際に言い伝えられているものもあった。木が話しかけてくる、木が危機を救う、時には、木と恋に落ちる、木の子どもを産む、木が母親の代わりにお乳を飲ませてくれる……など本当にあった話として伝えられていた。

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宇宙樹ユグドラシルの全体模型。


そして、出会ったのが北欧神話の「人間は木から生まれた」という創世神話である。男はトネリコの木から、女はニレから、3人の神さまが浜辺で拾った流木から作った。ニレから人間が生まれたという説はアイヌの言い伝えにもある。日本の神話と遠い北欧の神話との間に共通点があったことが興味深い。

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さて、前置きが長くなったが、ガムラ・ウプサラの歴史博物館である。入場料は60SEK。チケットさえ提示すれば、「一度出ても何度でも見ていいよ」と係員の男性が合図してくれた。1階が大まかな歴史の流れ。2階がこの地から出土した遺物の展示、歴史映像などであった。広々として清潔感があり、窓からはガムラ・ウプサラの緑の風景が見渡せる気持ちのいい空間だ。

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手前が私の大好きな狼フェンリル。

そこに、宇宙樹ユグドラシルはあった。正確にいえば、かなりデフォルメされた模型だが、北欧旅行の第二日目でユグドラシルに巡り合えるとは思えなかったので感激した。

北欧の聖なる宇宙樹―Tree of Life。他にも世界樹、生命の樹、中心樹など、さまざまな名前で呼ばれる宇宙を司る樹木。この宇宙樹の神秘を探りたくて、私は木の研究を続けているといってもいい。「宇宙樹思想」ともいうべき樹木崇拝は世界各地にある。身近なところではインドの菩提樹、ギリシャのオリーブ、東南アジアのガジュマルなども聖なる宇宙樹といえる。日本ではご神木となることの多いスギ、ケヤキ、クスノキなどがあてはまるだろう。

北欧では宇宙樹の樹種はトネリコとされている。その色鮮やかな模型では、スウェーデンの国樹でもあるトネリコにまつわる神々の物語が再現されていた。宇宙樹の枝先は天を貫き、根は大地に伸びている。

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雷神トールと宿命の戦いを繰り広げる大蛇ヨルムンガンド。

海を取り巻く大蛇ヨルムンガンド、太陽を飲み込む狼フェンリル、二匹の羊が引く車に乗った雷神トール、地獄の女神ヘル……影絵のようなシルエットで表された神様たちはみな生き生きとしていた。単なる物語ではなく、確かにこの世界に宇宙樹は立ち、神々は生きていたと、この地に生きる人々は信じていることが伝わってくる。

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八本足で天空も地獄も駆け巡る馬スプレイニル。

天井では最高神オーディンの愛馬、八本足のスプレイニルが輝いていた。有名な出土品であるトールの彫像もあった。
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ガムラ・ウプサラの全体像は木で彫られた立体模型で、とても美しかった。ミュージアムショップではルーン文字に関する商品がたくさん並んでいた。ルーン文字を織り込んだナプキン、ルーンのネックレス、ヴァイキングの人形etc.今回の旅行ではおそらくこの博物館が最も多かったように思う。ここまで来るのは大変だったが、本当に来てよかった。もう一度、三つの山まで登ってみようか。静かなこの大地で、いつまでも風に吹かれていたかった。

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2013年9月 6日 (金)

スウェーデンの国樹はトネリコ

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スウェーデンの国花は何だろうと調べてみたら、スズラン。

竜退治に出かけた一人の若者レオナール。神秘の剣で竜を突き刺した時、その傷ついた体から血が流れ出たところ一面にスズランの花が咲いた、という伝説がある。

この誕生のストーリーはまさに北欧神話を思わせるものだ。若者はおそらく英雄シグルズ(ドイツ語でジ―クフリート)だろうし、竜は欲望の魔物と化したファブニール。

さらに感激したのは、スウェーデンの国樹(国の木)はトネリコ Fraxinus excelsior (モクセイ科・落葉高木)だということ。

トネリコは宇宙樹ユグドラシルの樹種だ。

「天と地とを貫く大きな一本の木がこの宇宙を支えている」という北欧神話の世界観の象徴である。

やはり、この大地には北欧神話が息づいている。

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ガムラ・ウプサラ、三つの山の中央頂上から見た風景。上写真はここから歩いてすぐのレストラン「オーディンヴォルグ」の入り口でたなびく旗。

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2013年9月 3日 (火)

スウェーデン日記8 神々の大地「ガムラ・ウプサラ」Gamla Uppsala

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赤い看板を過ぎると線路があり、線路を渡った左向こうがウプサラ博物館であった。奥には小高い山が三つ連なる墳墓遺跡が広がっている。ああ、無事にここまで来られたのだ。帰りのバスの時間を見ておこうと引き返し辺りを見渡すと、蔦に覆われ、木々のトンネルのようになった停車場があった。帰りはここにウプサラ中央駅行きのバスが到着するらしい。最初からこちらで降ろしてくれれば慌てふためくこともなかったのにと恨めしく思うが、路線の番号を見ると行きのものとは違うので、行きと帰りとではバスの発着場所が違うのだろう。単身旅行者にはわかりづらい。時刻表で19時くらいまでは定期的に出ていることを確認できたので、ガムラ・ウプサラを歩くことにする。

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「ガムラ」とは北欧の言葉で「古 Old」を意味する。つまり、古いウプサラ。4世紀から6世紀にかけて(一説には3~4世紀)、政治、経済、宗教など、スウェーデンの中心地であった。遠い昔、古代北欧の人々に崇拝されていた神様たちの神殿が立っていたという。いわゆるヴァイキング時代(8~11世紀)が始まる以前だから、オーディン崇拝が盛んになる前の時代の名残りか、神殿の中央に雷神トールを据え、左右にオーディンとフレイが彫られていたと伝えられる。当時、オーディンはまだ主神ではなかったのだ。

この墳墓は誰のものか? 古代北欧ユングリング王朝のスウェーデン王が住む居城があったとされる。中央の墳墓は父王Aum、東側にはその子であるEgel、西側は孫にあたるAdilsのものとされている。墳墓からは貴重な遺跡が数多く発掘され、博物館に展示されている。あとでゆっくり見に行こう。

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早く墳墓に登ってみたくて、三つの山を目指す。山へと向かう道は野の花が咲き、草が自由に伸びているが、山そのものは芝生を丁寧に刈ったような低い丈の草が生えているくらいだ。下から見た時はなだらかな山に見えたが、登り始めると思ったより急だ。少々足がすくむ。先に登った家族連れの歩くほうを目指して、草で足が滑らないように歩く。小さな兄弟が山の頂上で飛び跳ねている。ここは家族連れがとても多い。多くが若い親と幼い子供の組み合わせだ。山の上から見下ろすと清々しい緑のウプサラ平原が果てしなく続く。

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現在、神殿はもちろんのこと、建物はほとんどない。空と森、草原と野の花だけが、ただただ広がるここはスウェーデン人の原風景といわれている。まさにそのとおりなのだろう。かつて、神々がたしかにいたような、自然の中に宿る力を感じる。中央の王Aumの山で瞑想をした。目を閉じ、風を感じる。思いのほか強い。髪の毛がバサバサと揺れる。激しい風。しばらくして目を開けると、見わたすかぎり、緑豊かなのどかな風景。現代も、神々は存在しているのではないか。

庶民の味方として信頼されていた雷神トールが無敵の槌ミョルニルを片手に闊歩し、知識と詩の神オーディンが生命の賛歌を吟じる。富と豊穣の神フレイは惚れて惚れて惚れぬいて結婚した愛妻ゲルズと連れ添って、仲よく散歩する。そんな情景も、私たちの目に見えない時空では、今もあり得るような気がしてきた。

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私の前を金色の髪をした姉妹が手をつないで歩いていく。一つめの山から二つめの山、三つめの山へ。私も一緒に歩いてみたくなり、ついて歩こうとしたが彼女たちは足がとても早く、ついて行くことができない。山の先には黄色い花が咲きみだれる草原が広がる。女の子たちは花の中を歩きまわるのが楽しいらしく、ぴょんぴょん飛びまわっていて、いつまでもそこから出てこない。母親が名前を呼び、親子三人が一緒に歩き始めるとみるみる小さく遠くなっていき、いつの間にか消えてしまった。現実のことなのか、それとも、ガムラ・ウプサラの風が見せてくれた幻影だろうか。

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★ガムラ・ウプサラの行き方
ウプサラ中央駅から市バスで110番、115番でガムラ・ウプサラ下車。所要時間約15分。バス停から徒歩約5分


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スウェーデン日記7 バスでガムラ・ウプサラに向かう To Gamla Uppsala

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ウプサラ城

スウェーデン日記をスタートして、6話まで書いてきたが、じつはこれらの出来事は半日の間のことである。

ストックホルム中央駅の3番線からウプサラ駅行きの電車に乗りこみ、811分に出発。約40分の車窓の旅を楽しんで、849分にウプサラ中央駅に到着。朝9時くらいからウプサラの街を歩き始めて、ルーン石碑の林立する場所からそろそろ駅のほうへ戻ろうと決めた時、ウプサラ大聖堂で音楽が鳴り響いた(日記5)、それがちょうど12時。

3時間あまりの滞在にしてはじつに充実していた。この後、スウェーデンの原風景といわれる「ガムラ・ウプサラ」を訪れるのだが、今思い出しても、このウプサラでの一日は凝縮された、かけがえのない時間であった。

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さて、気を取り直してウプサラ中央駅からガムラ・ウプサラへと出発だ。市バス110番か115番に乗り、約15分のところという。バス停はすぐ見つかったが到着まではまだ時間があった。午前中は何も口にせず歩きまわっていたのでのどが渇いていた。

冷たいものでも飲もうと駅に入ると、色とりどりのジェラートが並んでいるケースが目に飛び込む。美味しそう! 最も鮮やかな色をしたラズベリーのジェラートを買う。スタイリッシュな雰囲気のカフェでそこで過ごすのも心地よさそうだったが、風に吹かれたくて外に出る。芝生のある石のベンチでほおばりながらバスを待つことにした。

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ウプサラ中央駅の前は広々とした空間が広がり、透きとおった青空に真っ白な雲が流れていた。広場中央に噴水があり、ステーション・カフェでは人々がくつろいでいる。清潔感のあるさわやかな街という印象を受けた。

バス停では多くの人が並んでいた。間もなくバスが到着すると、ほとんどの人がカードを手にしている。スウェーデンでは乗り物の切符は日本のスイカのようにお金をチャージしていくカード式が一般的だ。私は旅行者、現金で払えばいいと思って、運賃30krを払おうとすると、サングラスをかけた運転手が「NO!」と叫ぶ。「Cash No! Credit card only」と大きな声で言う。えっ、
バスで小銭を使えないの? 信じられないと思いながらも、後ろに人が大勢待っているのですぐにカードで支払った。つまり、ウプサラのバスで使えるのはプリペイド・カードかクレジット・カードのみ。なんと画期的ではないか。「北欧はカード社会」だと聞いてはいたが、バスで現金が使えないほど浸透しているとは驚いた。

気を取り直して車内に乗りこむ。大勢の人が並んでいたので座れないかと思ったが、窓際の席に座ることができた。よく見れば運転手はあごのスッととがった細面で、サラサラした茶色の髪が好青年風、サングラスをとれば結構イケメンではなかろうか、などとつまらないことを考える。

ここから約15分、降りる場所を間違えないようにとバス停の名前を一つ一つ確かめていった。ウプサラ中央駅から少し離れると、とたんに田舎町といった寂しい風景になってきた。建物は少なく、広い野原や畑が広がる、緑の景色が続く。ともかく、無事に着ければいい。資料でしか見ることのなかった北欧の神々の大地にやっと立てるのだ。

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まもなく「ガムラ・ウプサラGamla Uppsala」に到着した。見わたすかぎり何もない場所だ。ここがガムラ・ウプサラ……? 少々不安になりながらバスを降り、運転手のほうを見上げると、Good Luck!と親指でサインを出した。

Good Luck!……か。徐々にバスが遠のいていくのを眺めながら、グッドラックの意味を考える。バス停の看板にはたしかにGamla Uppsalaと書いてあるが、それらしいものは何もない。ああ、そうだ。こんな何もないところで降りる人なんていないのだ。彼のGood Luckのサインは「たった一人でご苦労さん、まあ、がんばって行けよ」くらいの皮肉を込めた意味だったにちがいない。

バスが去ってしまえば、私はぽつんと一人。東西南北、見渡してみる。何もない。風がぴゅーっと頬をかすめていく。ぼう然と立ち、途方にくれる。少し離れたところに建物を見つけた。早速走って行ってみるが、柵は壊れ、家は土埃で覆われ、誰も住んでいるようには見えない。扉を叩くが中から物音はせず、押しても引いても開かない。誰もいない。そんな……。こんなところで私一人、どうやってウプサラに戻っていいかもわからない。バスも当分来ないだろう。どうしようかと途方に暮れていると、遠くのほうで工事をしているらしい人影が見えた。

人がいた! ほっとして近づき、工事用の黄色い車に乗っていたおじさんにGamla Uppsalaの場所を聞くと、「ここの土地のもんじゃないからわかんねえな」という感じの英語ですげない返事。地図を引っこめうつむく私。あまりに意気消沈する姿に気の毒に思ったのか、「でも多分、あっちじゃないかなあ。時々人があっちに向かって歩いているから」とおじさん。私は「行ってみます。ありがとう」と答え、ともかくおじさんが指さすほうに向かって歩いてみることにした。

そこから歩くこと5~6分。角を曲がると、Gamla Uppsalaの看板が。あった……。はあぁぁぁ、私は心の底から安堵のため息をつき、ガムラ・ウプサラへと歩いて行った。

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★ガムラ・ウプサラ Gamla Uppsalaの地図を示した赤い看板。これが見えた時は心底ほっとした。

2013.7.2



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