スウェーデン日記17 スウェーデン国立歴史博物館 The Sweden History Museum
石器時代から現代まで、時代を追って、スウェーデンの歴史が紹介されている「スウェーデン国立歴史博物館」。北欧神話の神々を崇拝した人々―とくにヴァイキングViking―がどんな生活を送っていたか、ルーン文字をどう使っていたか、それが知りたくて訪れました。
それにしてもこの博物館、かなり分かりづらいところにありました。ストックホルム市立図書館のあるメトロ、ロードマンスガータン(Rådmansgatan)駅からCervera駅を経由して、Ostemalmsorg駅へ。駅員さんに聞けばわかるだろうと思った私が甘かった。博物館を地図で探しながら駅員が言うには私が降りたOstemalmsorg駅ではなく、違う駅だと、しかもそこからバスで行けと言う。どう考えても遠回りなので、どうしたものかと怪訝な顔をしていると、小さな女の子を連れた女性が「どこに行くの?」と声をかけてくれました。地図で歴史博物館を指さすと、「そっちの方向に帰るから、一緒に行きましょ」と案内してくださることに! 助かった……。
女性が連れた女の子は黒髪を二つに結んでいて、とっても可愛かったので、そう伝えると、顔をくしゅっとさせて「Tack」と照れ笑い。笑顔で会話しながらのんびり歩き、博物館を目指しました。途中まで行くと「私たちは違う方向だから、ここをまっすぐ行って、また誰かに聞いて。きっと親切に教えてくれるから」と女性は言い、手をふってわかれました。本当にありがとう。
再び地図とにらめっこしながら歩き始めた私。人通りのほとんどない長い塀が続く道を歩いて歩いて、本当に辿りつけるのだろうかと不安に思い始めた頃、向こうから女性が歩いてきたので早速、声をかけました。彼女は「もうすぐよ。あの角を曲がると、大きな木が見えるから、その木を目印にして。博物館はすぐそばに建っているから。Good Luck!」はつらつとした印象の背の高い、金髪の美しい女性でした。Tackありがとう。しばらく行くとたしかに、大きな木…いえ、私からすれば中くらいの木が立ち、その奥にベージュ色の壁の落ち着いた建物が見えました。やっと歴史博物館に到着しました。ほっ。
今思い出すのは、博物館で見た興味深い歴史の遺産よりも、ここに到着するまでの親切な人々のこと。ひとり旅は寂しいけれど、ちょっとした出会いがこんなに心あたたかく、いつまでも忘れられない思い出になるのだと知った時間でした。スウェーデンでは困っていると決まって、助けの手を差し伸べてくれる女性たちと出会い、旅を続けられた、と今でも感謝しています。
歴史博物館はスウェーデンの歴史を考古学的に、芸術史も踏まえながら詳細に展示している博物館です。石器時代から現代まで時代ごとに分かれた部屋、テーマごとに分かれた部屋などがあり、数多くの発掘コレクションが展示されています。私は半日ほどここにいましたが、1日かけてじっくり見ると、ヴァイキングの歴史、ルーン文字について、ルーンを使っていた人々の日常などがもっとよくわかるはずです。
私が訪れた時は1000年代から1100年代、1200年代~1900年代まで、百年ごとに時代を区切った企画展が開催されていました。
http://historiska.se/utstallningar/fastautstallningar/Sveriges-historia/
膨大な遺産の中から、私がこの目で見てきたことのなかで、とくに心に残ったことを紹介しますね。
いちばん心地よかったのは広い庭。ヴァイキングの人たちの日常が体験できるようになっていました。
子どもたちが走り回る、魔法の迷路。
ヴァイキングが食べていたパンづくりの工房。粉に好きな木の実や種を入れて、こねこね、手でのばします。
土で造られた釜で焼きましょう。
釜から木べらで取り出して完成。熱いから、気をつけて!
作ったパンは食べることができるんです。思ったよりおいしかった! 口に入れるともそもそ、木の実がちょっと口に残るけど、香ばしくて、また作ってみたいな。
森で摘んできた薬草はヴァイキングの必需品。こうやって天井に吊り下げ、干して使うのだそう。
男の子たちはヴァイキングの弓矢で遊びます。
ルーン石碑のレプリカがひっそりと。
いかがですか? なかなか楽しいお庭スペースでしたよ!
では次回は、VikingとRuneの歴史をご紹介しましょう。
★スウェーデン国立歴史博物館の行き方
メトロOstemalmsorg駅から徒歩15~20分。◎入館料80SEK(ストックホルム・カードで入場OK) 季節によって開館時間が変わります。
※おすすめの観光コース ⇒ 有名な野外博物館「スカンセンSkansen」から歩くと、歴史博物館まで約10~15分。スカンセンでスウェーデンの昔の暮らしを伝統建築とともに見学した後、歴史博物館に行くとスムーズです。一日かけて、スウェーデンの歴史を楽しめるコースになるはずですよ。
・ホームページhttp://historiska.se/
(photo by Rieko Sugihara 3.July.2013)
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