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2014年6月23日 (月)

『バルテュス展』Balthus

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バルテュスが使っていた絵の具。
DITTA G.POGGI in ROMA http://www.poggi1825.it/

『バルテュス展』に行ってきました。東京都美術館(上野)で419日~622日まで開催されていた展覧会。いつものことながら、最終日にぎりぎり駆けこみました。開館と同時に行ったのに結構人が並んでいました。

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バルテュスはずっと憧れていた画家でした……というよりも、私が惹かれたのは妻の節子夫人。美しく大胆な着物に身を包み、自己の世界を貫く画家に寄り沿いながらも、影の存在ではなく、凛と立つ女性の姿に。

その女性の夫、画家バルテュスは少女を描き続け、独特のエロスを醸し出す。ピカソをして「20世紀最後の巨匠」といわしめた画家である。

流れていた映像でバルテュスは「少女を描くことから私は誤解をされていることは知っている。しかし、私にとって少女は神聖な存在、その思いしかないのです」と語っていた。

その構図などを見ると、性の対象ではないことがにわかには信じがたい思いもするが、“だれの手によっても穢されていない少女”を描き続けた画家バルテュス。

彼は初めて日本を訪れたとき日本人形と出会い、強烈に心惹かれたという。その彼が50歳を過ぎて出会い結婚したのが、当時20歳の節子夫人だった。彼は、生身の“動く日本人形”を手に入れたのだ。初めて描いた節子夫人の顔のスケッチから、10年の歳月をかけて描いたという「朱色の机と日本の女」まで、彼はだれの手によっても穢されていない日本人形を愛し、触れ、抱き締め、究極の美ともいえる“日本人形”へと作り上げていったのではなかったか。

バルテュスの死後、60歳を過ぎてから夫の絵の保存とより深い理解のための活動を始めた節子夫人。今尚、美しく、若々しく、初々しく、可愛らしく、バルテュスの美意識のままに年齢を重ねていく姿に、愛される女性の真の美しさを感じる。

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 この展覧会で初めて本物を目にした。少しずつ見ていくと、いつもと違うことに気づいた。そう、ガラスがないのだった。だから、彼の筆づかいをそのまま感じることができた。何度も塗られた絵の具の跡、盛り上がった絵の具、ひび割れた表面などがよく見える。著名な画家の展覧会でガラス越しではなく見られるのは珍しい。なんて贅沢なことだろう。

バルテュスの絵には生身の人間の息づかいを感じる。彼の分身という猫さえつい手を伸ばしたくなるほどだ。「生」「性」「聖」……を私も肉体で感じとりたい。彼の熱い思いはガラス越しでは伝わらなかったにちがいない。

とくに感動した絵は、「美しい日々」の暖炉の火の色。オレンジの美しさは少女がいつか大人になった日のためにとっておく火種のような感じがした。ヤケドしそうなほどの。

「地中海の猫」の虹から飛び出す自由な魚。でもすぐに食卓に連れて行かれるのに…。

「決して来ない時」のバタイユの娘ローランスとの肉体の触れ合いを感じさせる空気感。

「おやつの時間」のりんごのエロス。

「ジャクリーヌ・マティスの肖像」の気の強そうな少女の視線。

「猫たちの王」の、シニカルな表情の自画像と足に頭をすりつかせる猫の愛らしさとのアンバランス。

「黄色い着物を着た日本の女」の日本女性の美しさが立ち姿にあることを知っているかのような、川端康成の世界を思わせる余韻。

「モンテカルヴェッロの風景」の光る川。

「樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭)」の完璧な構図。

「《朱色の肌と日本の女》のための習作」の生々しい裸の線。


バルテュスよ、永遠に。そして、いつか再び、巡り逢いたい。

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「夢見るテレーズ」

テレーズは最初の少女モデル。1936~1939年まで、幼い少女から大人の女性へと刻々と変わっていく姿を描き続けた。彼女との出会いがきっかけで、バルテュスは生涯、少女をテーマにすることとなったといわれる。

 

 

 

 

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