有馬晋平展―こだまのここち
「樹」と向き合って、作品をつくる人と出会った。
こういう出会いがあるとき、自分が辿ってきた道が正しいと、
そして、これから進もうとする道も正しい、と信じられる。
だから安心して進んでいきなさい……と天の神さまから背中を押される瞬間がある。
今日はその日だ。数か月の間でいちばん、心ふるえる、嬉しい出会いだった。
造形作家、有馬晋平さん。
杉の木から、こだまをかたちづくっていく。
杉の木の“たましい”をすっと取り出したかのような、
丸い、それぞれに木目がちがう、
いのちのしずくの一滴のような……。
杉の木はもうそこに立っていないのに、森で生きていた何本もの杉のいのちがたしかに、そこに在った。
有馬さんがリーフレットに書いたことばをそのまま伝えます。
杉の木から生まれた こだま
それは、杉が生きてきた時間を削り出した かたち
その ここちを感じてほしいと思っています。
―こだまのここち―
涙があふれそうになるのを、私は何度もおさえなければならなかった。
「樹」と向き合う人がここにもいる。
私と同じように、「樹」といういのちに心惹かれる人がいる。
そのことが、ただ嬉しかった。
私もまた、「樹」のいのちのしずくをとり出してみたいと、
「樹」のたましいをことばにかえて、永遠に、
人と樹との間に残してみたいと、心から思った。
そして、その言の葉はまだ、小さな芽ひとつ出してはいないのだという現実も。
ギャラリーを出て、すばらしい巡り合いをありがとう、と空を見上げた。
誰かが私を導いている。私もまた、
「樹」と向き合い、何かを伝え続けるために生まれてきた人間なのだ。
すべての時を、「樹」とともに生きていこう。
今日からふたたび。
★有馬晋平さんの作品は明日11月30日(日)まで
ギャラリーYUNOR(白金台)で見られます。
東京都港区白金台5-51-1
http://gallery-yunor.com/web_arima/shimpei_arima_exhibition_.html
有馬さんが育てた杉の子ども。
大分県に工房を構えていらっしゃる有馬さん。いつか訪ねて、杉の森を一緒に歩いてみたい。
ふと覗いたら、「樹」でつくられた、心地よさそうな丸い何かが目に飛び込んで、思わず入ったギャラリーでした。
「ギャラリーYUNOR」の宮原貴寛さんも、樹が好きな、素敵な人でした。もうおしまいの時間に入れてくださって、ありがとうございました。
天の神さまはこうやって、時々、私が大切なものと出会わせてくれるのですよね
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