クリムト展に物申す
「クリムト展」へ行きました。忘れがたいウィーンへの旅、ベルヴェデーレ宮殿で、初めてクリムトと出会った時の感動をもう一度味わいたい!と出かけたのですが、なんで、こんなくすんだ壁にクリムトの絵を、、、(涙)ねずみ色とか暗い緑色とか、クリムトならではの輝きが沈んで見えます。ベルヴェデーレ宮殿では、クリムトの絵は黄金に光り輝いていました。室内装飾が美しい部屋の壁面に飾られて、その荘厳さと共鳴し合うように、絵の中の金色も、額縁の金色も、黄金色に光を放って、こちらに迫ってくるようだったのです。とくに、有名な「ユディトⅠ」。壁面を暗い色にしたのは、絵そのものをよく見せようという配慮なのかもしれませんが、クリムトの輝きを表現するにはあまりに暗すぎる、と残念に思いました。今回、いちばん心に残ったのは会場を入ってすぐの、横顔の少女像「ヘレーネ・クリムトの肖像」。白い服を着た少女のやさしい表情に心救われるようでした。
これからクリムト展に行かれる方は、本来は黄金にあふれる宮殿の美しい部屋の中に飾られていたと想像しながら、ご覧ください♪
そうそう、最後の1枚にも疑問。クリムトが描いてきた、生きる喜び!自然の輝き!を感じながら、会場を後にしたかったなあ。彼のテーマ「生命の円環」の最後を飾る作品としてなのか。円環ならば、やはり生の誕生で、新たな生命循環を感じさせる絵で締めくくるべきではなかったか、と私は思います。クリムトのめぐりゆく円環の中に身を置いて、会場を去る、、、という演出。
過去最多というこのクリムト展。ほとんどの絵を提供したベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館の学芸員たちは「No!こんなの私たちのクリムトじゃない!」と言わなかったんだろうか、、、。
それにしてもクリムト・グッズの豊富さには驚きました。展示の工夫より、お金とアイデアをこちらに注いでしまったのね。と、クリムト展に物申しつつ、2回も見に行きました。
★19世紀末のウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)の25点以上の油彩画を集めた「クリムト展 ウィーンと日本1900」東京都美術館(上野)にて7月10日(水)まで。
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