
【被爆樹木に関する講演の報告】
第11回「江戸川・原爆語り部カフェ」
日時:2月16日(土) 14 時〜15 時30分
場所:レストラン伊太利庵(江戸川区中葛西)
月1度、江戸川区のレストランで開催されている、被爆体験を聴く会に呼んでいただきました。主催は光文社の編集者、K.Murataさん。「原爆の話をもっと聞きたいと思っても、聞く場がないのが現状です。ちゃぶ台を囲む感じで、当時の話を聞いてみませんか?」という呼びかけのもと、2018年4月にスタートした江戸川区・語り部カフェ。第1部では被爆証言、第2部では原爆について知るミニ講座という2部構成。私は後半30分、「被爆樹木」について話す機会をいただきました。
東京近県で話をすると、「被爆樹木」を知っている人は約30~40人のうち1人か2人、全くご存じない方や原爆に関心のない方も多いので、「被爆樹木とは何か?」を話す前に、「原爆とは何か、どんな状況になったのか、放射線を浴びるとどうなるのか」などを話してから木々の話にいきますが、今回は前半で伝承者の方が丁寧に話してくださったので、被爆樹木の話に進みました。代表的な広島城のユーカリ、長崎・山王神社のクスノキの被爆直後と現在の写真をご覧いただき、最も伝えたい「その木の下で何が起こったのか!?」これは木が立つ場所の被爆当時を描いた原爆の絵を用いながら、また、木の所有者である被爆者の方々から聴いた体験を伝えました
「あの焼け野原で芽が出たんだ、すごいね」だけではすまされない、熱線や爆風で傷ついた「被爆樹木」の姿から伝えるべきことを、私は語れたのだろうか?いつも悩みますが、何人かの参加者からエールをいただきました。小学校教諭の男性には「子どもたちにどう戦争・原爆を伝えるか迷ってばかりです。木をテーマに被爆体験を語るのは子どもたちに伝わりやすいかもしれない」と背中を押す言葉をいただきました。
私の前に話されたのは、戦争体験の伝承者、Iさん。いつもの語り部カフェでは被爆者が自ら被爆証言されるのですが、今回は若い女性、Iさんが平田忠道さん(1930 年生まれ・広島で被爆)の被爆体験を語られました。「伝承者」は原爆を経験していません。体験者から話を聞き取り、話し方や朗読技術などの研修を受けて、被爆者の被爆体験を話します。Iさんは国立市が立ち上げた「くにたち原爆・戦争体験伝承者育成プロジェクト」で勉強をなさった方。
戦争、原爆を知らない私たちがどう伝承し、発信していくのか、参考になりました。
語り部カフェのあと、歩いて3分ほどの公園へ、江戸川原爆犠牲者追悼碑にみなさんとお参りしました。ここには被爆アオギリ2世が立っているのです。このアオギリについてはまたの機会に報告します。
主催のMurataさんは『カウンターの向こうの8月6日』をつくられた編集者さん。著者は広島のバー、スワロウテイルで毎月6日、「被爆体験者の証言の会(語り部の会)」を続けられた冨恵洋次郎さん。この本の出版前に、肺がんにより37歳で亡くなられました。スワロウテイルでの語り部の会は今も続き、Murataさんは東京で、冨恵さんの意思を継ぐように語り部カフェを始められたのです。これからも毎月、葛西駅から徒歩5分のイタリアンで続けられます。私もまた聴きに行きたいと思います。

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